新国立競技場の深い闇

shinkokuritsu2 巨額な建設費が大きな話題、問題になっている新国立競技場について、1年8カ月前の2013年11月28日に私は以下のような記事をブログなどに載せています。全文ではありませんが、再掲します。
 「さて、その東京大会とその前年のラグビーワールドカップ(2019年9月)で使われる『新国 立競技場』の建設計画が揺れています。特に建設経費のことですが、当初の1,300億円ではとても造ることができずに3,000億円という数字が出てきました。
 “おいおい、それじゃーお金がかかり過ぎだろう”ということで再検討して、JSC(日本スポーツ振 興センター:国立競技場や秩父宮ラグビー場などを運営している組織)が延べ床面積を29万㎡から2割ダウンして22万5千㎡にしたようです。もちろん、文部科学省の意向が強く働いていたと思います。これで1,850億円くらいに圧縮されるとのことです。
 私は新しく競技場を造るのですから、それなりに経費を投入して長く使用できるものが必要と考えていますが、イラク出身の建築家の方の作品は未来の宇宙船みたいで何となく 馴染めませんね。反対するわけではありませんが、緑多い“神宮の森”には若干ふさわしくないよう に思います」。

 今となっては、“あの段階で見直しておけば良かったのに”とも思いますが、それにしても現在の関係機関の対応はおかしいと思います。かなり以前から指摘されていたことですが、国(文部科学省)、東京都、JOC(日本オリンピック委員会)、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、JSCなどの連携がどうも上手くいっていないようです。
 そして、文科省大臣の下村博文さんに至っては今になって、「現在の計画を強く推した安藤忠雄さんにきちんと説明してもらいたい」と言っています。確かに、逃げ回っている彼にはお聞きしたいことは当然ですが、“国立なんだから、最終責任者はあなたでしょう”と言いたくなりますね。
 また、今度は元都知事の石原慎太郎さんが彼を擁護したり、安倍首相が民主党代議士の質問に対して、「反対の意見が多いのは私も承知しているが、今になっては変更できない」という趣旨の答弁をしています。それから、各団体の親分みたいな森喜朗さんも、「国際的プロジェクトだから後戻りはできない」と発言していますし、「当時は民主党政権下だった」と八つ当たりしています。
 私は建築(や土木)のことは分かりませんが、今、一番危険なことは、だれも責任を取らず、「あと5年しかないから(負の遺産になることはわかっているけど)突っ走るしかない」という考えではないでしょうか。もちろん、オリンピック・パラリンピックを返上することは出来ませんが、日本のとても優秀な技術力を総力投入すれば、今からでも間に合うという建築界の重鎮の意見もあります。
 それにしても、何か大きな力が働いているようですね。それが何であるか、その中心人物が誰なのか、どのようなやり方をしているのか、スポーツにはまったくふさわしくない“深い闇”に包まれているようです。最近は“レガシー”という言葉を使うことが多くなりましたが、それが、「巨額の負の遺産」になっては、五輪を何のために招致したのか、何のために開催するのか分からなくなってしまいます。ほんの少しの間、立ち止まって、シンプルな建物を造ることが大切でしょう。IOC(国際オリンピック委員会)だって文句は言いません