診療報酬改定と病診連携

 IMG_53622年に一度改定が行われる医療費などの公定価格である「診療報酬」が中央社会保険医療協議会(略称:中医協)で決まりました。実際にはこの4月から適用が始まります。
 この改定は毎回、政治の影響を受けることが良くも、そうでなくてもあります。今回の改定は関係団体の中には不満もあるようですが、概ね妥当なものと私は思います。ただ、以前から特に都市部の病院団体などから指摘されている通り、一部の例外を除いてこの公定価格が全国一律であることは大いに問題です。分かりやすく、比較がしやすい時間最低賃金を見ても、最高の東京都は907円、一番低い鳥取県、高知県、宮崎県、沖縄県は693円です。人件費だけでもこれだけの差があります。
 それから、来年の消費税10%への移行ですが、医療機関では一般的な備品や医療機器などの購入費アップ分を患者さんの負担に転嫁できません。この二つだけが理由ではありませんが、ここ数年、大病院といえども赤字経営を余儀なくされているところが少なくありませんし、全国の国公立大学附属病院もその例外ではなくなりました。
 また、今まで以上に「かかりつけ医」(かかりつけ薬局・薬剤師を含む)の役割の重要性が制度化されています。在宅医療専門診療所・クリニックの開設も認められました。ただし、このことは良いのですが、特定の老人介護施設などの経営者や施設長などがイレギュラーな形で医師と連携すると危険です。抽象的な言い方で申し訳ないのですが、注意していかなければならないでしょう。
 そして、かかりつけ医とはある意味、病診(病院&診療所・クリニック)連携のことです。大学病院などで“3時間待ちで、3分間診療”などと揶揄されたともありますが、しっかりとご自分の日常的なかかりつけ医がいて、例えば病院での先進機器を使って検査を受けるときは、その開業医からの紹介状を持参するということです。ですから、今回の改定ではそのことを進めるために大学附属病院など病床数がとても多いところでは初診料が大幅に上がります。初診では5千円以上、再診でも2千5百円以上になるようです。逆に言えば、それだけの初診料などを負担すれば大病院に風邪でも、ちょっとした腹痛でも行くことが可能です。
 ところで、杉並区内では唯一“総合”の名称が付いている、私が顧問を務めさせていただいている河北総合病院は、紹介状がない場合は税込みで3240円の負担になっていますが、この価格に変化はありません。また、診療科によってこの金額が必要な科とそうでない科がありますので、詳しくはお問い合わせをお願いします。どの診療科を受診すればよいのか分からない方は家庭医療科(総合診療科)に行かれることをお勧めします。病状によってはそこから院内の専門科に紹介という形になります。家庭医療科は開業医からの紹介状は必要ありません。
 なお、河北総合病院は東京都から地域医療支援病院に指定されています。もちろん、病院側もメリットがありますが、常に一定以上の紹介率(診療所から病院へ)、逆紹介率(病院から開業医へ)をクリアーしなければなりません。文字通りの病診連携、地域連携ですね。そのために医師会とも協力してネットワーク組織も作っていて、今後、さらにその環を広げていきます。また、私は地域医療支援病院運営協議会の委員も務めていますが、出来る限り積極的に発言するようにしています。そのことが少しでも、地域医療連携や勤務医の労働環境の向上に役立てばと思っています。(写真は東京消防庁と河北医療財団所有の救急車です。広くないスペースに4台の救急車がいました。救命救急・3次救急のことは次回にお伝えします)

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