「いずも」は護衛艦か空母か

「護衛艦」という名称も馴染みがあって、それはそれで良いのですが、“いづも”(&かが)と一回り小さい“いせ”“ひゅうが”は、ヘリコプター搭載空母であることも間違いありません。外国ではその認識が当たり前になっていますし、もともと、空母は護衛艦ではなく、護衛される大型艦艇です。

これは米国海軍の空母打撃群を見れば分かりますが、空母がほかの艦艇を守るのではなく、並走するミサイル巡洋艦、同駆逐艦、補給艦とセットでなければ行動することは不可能です。合わせて、姿はめったに現しませんが、原子力潜水艦も同行しています。

ですから、今年5月にいづもが“米艦防護”として初めて役割を担ったときには、とても失礼ながら、私は苦笑してしまいました。ヘリコプター空母では防護になりません。米軍と自衛隊もそれは分かっていたのでしょう、防護が必要ではない太平洋で行いました。しかも、その対象は補給艦でした。

さて、いづもを空母に改造するという話題がにぎやかですが、正確には上述したようにすでにヘリコプター空母ですから、そこに垂直離着陸機のF35B(写真左下)が離発艦できるように甲板を強化するということでしょう。この夏に金沢港にかがを見学に行ったとき、乗組員の方にお聞きしたのですが、いづもにはプロペラ垂直離着陸機のオスプレーはすでに着陸、離陸しているそうです。

ただ、写真をご覧いただければ分かりますが、こんな重たいものが垂直に降りてくるのですから、甲板はもの凄く熱くなると思います。その対策として改修をするわけです。もちろん、長期間に渡り活躍してくれているF15の後継機としてF35を購入することは野田民主党政権のときに決めていたことですから、何の問題もないのですが、これは航空自衛隊に配備されるF35Aが前提だったようです。

何となくややこしくなりますが、ザクッと整理してみると、ステスル戦闘機F35には三種類あって、42機導入予定で航空自衛隊が運用するのは「A」(写真右下)、報道されている米軍海兵隊のものが「B」、さらにあまり知られていませんが、米海軍のものが「C」となります。なお、政府は将来的には航空自衛隊に「B」を導入したいと言われています。ただ、この場合は航空自衛隊ではなく、現状では戦闘機を保有していない海上自衛隊が運用することも選択肢と考えます。

さらに言えば、地上の基地にはA、B、Cともに離発着可能で、空母にはBとCが離発艦できるということです。つまり、CはAに似ているのですが、空母のカタパルトから射出されるのがCになります。ですから、いづもは改修してもカタパルトを追加するのではありませんので、Cは日米軍ともに運用することはありません。また、Bはその機体に垂直降着装置がありますので、飛行距離と搭載ミサイルなどはA&Cに比べて劣っています。すみません、かえってややこしくなってしまいました。

それから、問題になると言われているのは、政府答弁(当時の防衛庁長官)が、ICBM,戦略爆撃機とともに、攻撃型空母を自衛隊が保有するのは許されないと答弁していることです。でも、これって今から30年前のことで、わが国はバブル絶頂期でした。現在の中国や北朝鮮の脅威はそのころに比べて著しく高まっていますし、そもそも、垂直飛行が可能な戦闘機を給油、搭載することが即、「攻撃型」になるとはとても思えません。

いずれにしても、内閣の最大、最高の任務は「国民の生命と財産を守る」ことでしょう。ちょうど、来年末には防衛大綱中期防衛力整備計画の改定が行われます。政府・与党も野党も、「この国と国民をどうしたら守れるのか」、「他国からの侵略をどのようにしたら防げるのか」を真摯に論議ができる良い機会かもしれません。
(写真出典:海上自衛隊、アメリカ海兵隊、同空軍)

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