小倉昌男さんが泣いている

ヤマト運輸創業家の二代目である小倉昌男さんは、運輸省(当時)や郵政省(同)などを向こうに回し、いわゆる「宅急便」事業を拡大したことで知られています。また、三越百貨店のいじめに対抗して取引停止という大英断を下したことでも有名です。

また、当初は社内労働組合をあまりこころよく思っていなかったようですが、その後、「労働組合は企業の病気を知らせる神経だ」「組合員の解雇は絶対しない」など、深い理解を持たれていました。

そのヤマト運輸労働組合も小倉さんのお考えに共鳴することにより、健全な労使関係を築き、今では当たり前になった個人宅への配送、すなわち、クロネコヤマトの宅急便が可能になったようです。

そして、彼の長男である小倉康嗣さんが会社を離れてからは、小倉家とヤマト運輸は無関係となりましたが、現在でもこの企業のホームページには小倉昌男さんの仕事ぶりが載っていますので、そのような位置付けなのでしょう。

さて、ヤマト運輸の関連会社であるヤマトホームコンビニエンス(ここの労働組合はヤマトグループ企業労働組合連合会に加盟しています)が過去2年間、法人顧客の約5万件に対して約17億円(その後31億円に)の不当な過大請求をしていたことが明らかになりました。

この事件については、国土交通省が極めて異例な立ち入り検査を行いましたが、どうも、過去の料金値上げの過程についても当局は疑問を持っているようです。この件では全国128事業所で123カ所でデタラメがありました。

ヤマトHDの社長は「組織的に指示したことはない」みたいなことを言っていますが、それでは、誰がなんの目的でやったのか、自らはっきりさせる必要があるでしょう。もしも、本気でこんな発言をしているなら、このグループのコンプライアンスはゼロではなくマイナスですね。

さらに以前にもお伝えしましたが、ヤマト運輸は昨年、宅急便のドライバーさんへの残業代230億円が未払いであることが発覚しています。今回のことも含めて、この企業グループの労働組合が不祥事を知らなかったとすれば、小倉昌男さんの言葉はないがしろにされていることになりますし、病気はけっして労組では治せません。

そして、考えたくもないことですが、知っていたとすれば言語道断、労働組合の看板を外すべきでしょう。この労組の主張には「働き方改革を実現し、明るく元気な職場環境を構築しよう」とありますので、残念で仕方ありません。

もちろん、一連の不祥事の第一義的責任は企業にありますが、現在の労使関係や組合執行部と現場組合員の風通しが心配です。小倉昌男さんが天国で泣いているようにも思えるのです。

なお、最後になって申し訳ありませんが、わが家でもお世話になっているこの会社のドライバーさんたちはどなたも感じよく親切で、仕事熱心であることも伝わってきます。彼ら彼女らには頑張ってもらいたいと心底願っています。
(写真は本文と直接は関係ありません)

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