やっと人手不足になったのに

現在、国会で審議されている外国人労働者の受け入れ拡大の改正案ですが、政府・与党は会期を延長しても、成立にこぎつけたいようです。それで、詳細は省きますが、どう見てもこの改正案は悪名高い「技能実習生」の拡大版でしょう。「そうじゃないんだ」と総理を始め、提案者側は言っていますが、繰り返しになりますが、「技能実習生制度その2」ではないでしょうか。

それから、世論の「それって、移民推進制度じゃないの?」との素朴な疑問に対して、「あれはダメ、これはダメにしますから安心ですよ」と苦しい言い訳をしています。でも、こんなことでは本当に日本が好きで、日本で働いてみたいと思っている世界の人たちに失礼ではないかとも思えるのです。つまり、この法案そのものに欠陥があるということです。

ですから、端からこんな不可思議な制度を導入しなければ良いでしょう。でも、先日もお伝えしましたが、アベノミクスの恩恵を受けてたっぷりと儲け、それを内部留保とか取締役とか株主だかにしか回さず、「うちは働き手が足りない!どうにかしてくれ!このままじゃ、人手不足倒産だ!」と騒ぎまくっている経営者が多いことが大きな問題です。

普段ですと、中小企業はいつも庶民の味方、大企業にいじめられてる可哀想な人たちのイメージがありますが、前述の哀れな叫びは中小企業はもけっして例外ではありませんし、一方的に責めるつもりはありませんが、技能実習生の低賃金で働かせている現状はこれまた、中小企業も例外ではありません。

そもそも、人手不足はそれだけ景気が良くなっているという証でもありますから、諸手を挙げてとはなりませんが、どちらかというと、歓迎すべきことでしょうし、実際、失業率もずっと下がってきています。このような状況を普通に考えれば、お給料や時給を上げて働いてもらうというのが当然でしょう。

でも、「人件費はそのままかむしろ下げたい、社員は福利厚生費がかかるから派遣やパート、アルバイトなど非正規ですませたい、でも、そんな条件では日本人は来てくれない、だったら、低賃金で使い捨てができる外国人を」との不埒な考えがまかり通っているから、変な法律が出てくるわけです。

ただ、ほとんど唯一、介護関連職場は真剣な論議が必要ですし、そこで働いている皆さんの労働環境の大幅な向上がないと、大変なことになってしまいます。ここは条件を十分に考慮して、言葉や風習のこともしっかり対処して、外国人の方に働いてもらわなければならない分野かもしれません。

ところで、私たちが現在でも、「あそこで働いている人たちは外国人が多いね」という場合、それは居酒屋やファミレスなど外食、そして、コンビニに代表される小売のケースが多いような気がします。私も日常的な生活や行動の中で同じように感じることが少なくなく、それで間違いないでしょう。

でも、ここのところは経営者に発想の転換を求めると同時に、消費者であり、利用者である私たちも今までの固定観念から脱することが必要に思えるのです。例えば、ほぼすべてのコンビニが24時間、365日、営業しなければ、お客様でもある私たちがそんなに困るのだろうかということです。

例えば、コンビニ業界の圧倒的リーダーであるセブンイレブンがその名前のとおり、当初はそうだった午前7時から午後11時までの営業で、利用者は特に不便を感じることがあるのだろうかと復習してみることです。人間は一度、享受した文字どおりの便利さを失うことは好みませんが、ちょっと考え直してみてもムダではないでしょう。

これは居酒屋さんなども同じで、ローカルな話題で恐縮ですが、JR阿佐ヶ谷駅周辺にある24時間営業のお店も通常の繁忙時間帯以外では、ほとんどお客さんはいません。だいたい、通年で一日中、飲食店がオープンしていることも、一部の例外を除いてはどうなんでしょうか。もちろん、地域性は大切な条件ですから、それはそれで尊重することにやぶさかではありません。

そして、百貨店などの元日からの営業、スーパーなどの年中無休営業も再考の余地があるように思います。例えば、私はスーパーマーケットで働き、短期間ですが売り場の人員配置もやっていたのでちょっとは分かるのですが、1週間に1回の店休日があると、もの凄く人の配置がスムーズになり、週休二日制も順調に回るようになります。

それがいつのころからでしょうか、年中無休や元日からの開店は当たり前になり、売り場も人も明らかに疲れるようになってきました。と同時に、流通職場ではすごい勢いでクレーマーと呼ばれる人たちが急増しています。これは鉄道会社や病院などでも酷く、何が原因なのかはっきりしませんが、世の中全体に余裕がなくなり、お互いにギスギスした空気が蔓延しているせいかもしれません。

いずれにしても、外国人労働者受け入れ拡大は最小限の職種に限り、リストラを嬉しそうに発表している経営者を放逐し、溜め込んだ内部留保を頑張っている現場の人たちに還元し、正規でも非正規でも社員、パート、アルバイトでも働いている人たちが第一として信頼すれば、言われている人手不足の解消は十分に可能だと思います。

終わりにこの改正案については、総理の安倍晋三さんはそれほど熱意がないのかもしれませんが、やはり、苦労人である官房長官の菅義偉さんが、産業界の強い意向を受けて実現させたいのでしょう。しかし、実は自民党の中にもあまり表に出ないというか、出せない諸事情があるものの、少なくない国会議員も疑問視しているように感じます。普通に考えれば、そうなりますよね。
(写真引用:荘内日報電子版・2018年 7月12日付け紙面より)

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