北方領土交渉はとても難しい

テーブルの上はともかく、その下ではもの凄いやり取りが行われている外交交渉ですが、それが、その国の固有の領土問題となれば、壮絶な戦いが繰り広げられているのでしょう。そこに、リーダーとリーダーとの信頼関係が影響するのかどうかなど、多分、当事者でも分からないのでしょう。

それで、私は旧・同盟に所属し、民社党の党員だったこともあり、かなり以前から北方領土返還運動には携わってきましたし、根室の納沙布岬から、「返せ!私たちの領土を!」と何回も何回もシュプレヒコールを行ったことをよく覚えています。

ちなみに、区議会議員のとき、根室市や釧路市、北見市などを行政視察しましたが、このとき、市役所の職員の方に訪ねてみました。「地元の職員組合や社会党の皆さんは北方領土についてどのようなお考えをお持ちですか?」と。

それに対して、「彼らからそのようなことは聞いたことはありませんね」と正直に答えてくれました。のちに大きな問題となる北朝鮮による日本人拉致も同様ですが、この時代、日本社会党や総評系労組は、「北方領土、なにそれ?」「拉致?日本政府のでっち上げじゃないの」だったのです。

また、話題はちょっと異なりますが、今までの交渉でいちばん感じたのは、「戦争で奪われた土地を戦争以外の方法で取り返すことはとても難しい」ということで、これまでの世界の長い歴史ではほぼ確立した方程式のようです。

ただ、例外もあって、それはいろいろと条件がついていますが、米国が沖縄をわが国に返還したことです。世の中には様々の方々がいますので、「米軍基地などいらない」と言っている人たちもいますが、これは仕方ないでしょうね。もちろん、沖縄の人民大衆が日本以外の統治を望んでいれば別の話になります。

また、“実効支配”がいかに大切なものかをあらためて強く理解しました。竹島が日本の領土であることは間違いありませんが、残念ながら、彼の国が実効支配していることも事実で、将来はどうなるか誰も予想できませんが、少なくても現在、実力で奪還することは不可能です。

そんなことを思っていると、今回の北方領土交渉は極めて困難だろうなと感じています。冒頭に書いたとおり、安倍さんとプーチンさんはもう何十回も会われていますが、果たしてそれが有利に交渉を進められる利点になっているのかもよく分かりませんし、ロシアの経済状態は破産寸前ですからなおさらです。

これからしばらくの間、交渉は断続的に行われるのでしょうが、安倍さんが言われているとおり、「私の政権で必ず解決する」には大いに期待します。しかし、同時にそれが絶対的な締切と焦ってしまうと、あまり良い落とし所にはならないような気がします。将来、国際社会からも、「火事場泥棒のようにソ連は盗んだんだから、日本が取り返したのは誰も文句は言えないよ」となる日を待つのも悪くないように思います。

結びというわけではありませんが、そんなに昔でないいわゆる“東西冷戦時代”で、当時の陸上自衛隊の仮想敵国はソ連でした。「北の守り」が何よりも優先され、北海道には優秀な戦車部隊が集結していました。それから何年たったでしょうか、ソ連の後継国家みたいなロシアは友好国ではないものの、少なくても反日国家ではないでしょう。

一方、東アジアの日本を取り巻く国々は中国と北朝鮮は敵性国家ですし、韓国も間もなくその範疇に到達します。そのような厳しい状況の中ではいっぱい不満もありますが、経済協力を中心にロシアと一定の友好関係を築いていくことは悪くありません。特に急がなくても良いと思いますが、「四島返還以外は一切ダメ!」では結局、中国と北南朝鮮の三つの反日国家が喜ぶだけでしょう。

私たちは交渉の過程を見て、読んでイライラすることも多いのですが、外交では満点はありません。実効支配をロシアが続けているのですからなおさらでしょう。国際的にも残念ではありますが、ソ連が中立条約を破って四島に進行したことはそれほど問題にはされていません。勝てば官軍(実効支配)ですね。