セブン-イレブンと「変化への対応」

会社(セブン&アイグループ)を去られるときの記者会見にはびっくりしましたが、わが国のコンビニエンスストアを創設し、セブン-イレブンの実質的創業者である鈴木敏文さんは、今回の東大阪の店舗での営業時間短縮についてどのように感じていられるのでしょうか。

彼は数々の名言を残していますが、「時代は変わるものだ。いい悪いはともかく、変化に対して自分たちも変わっていかなければ倒れてしまう」「過去にとらわれてはいけない。だって時代は変化しているんですから」「時代の変化にきちんと適応していけるかどうかが問われる。変化が起これば企業の在り方も変わらないといけない」「変化はチャンス。変化するからいろいろな仕事が出てくる」「時代の変化について、これからどうなるかは僕だってわからない。要は、変化をずっと見ていて、正確にそれを把握できるかということ」などなどがありました。

要するに、過去のやり方にとらわれず、時代の変化を的確に捉え、それを迅速に対応することだということでしょう。この基本的考えを活かし、セブンの圧倒的シェアを、2万を超える店舗を築き上げてきたのだと思います。彼が卒業した高校は長野県にあるのですが、その校庭には「変化対応」刻まれた記念碑があります。もちろん、鈴木さんが寄贈したものです。

一方、東大阪のお店で何かあったのかは報道で知るほかはありませんが、もしかしたら、オペレーション・フィールド・カウンセラー(OFC)と呼ばれる店舗経営アドバイザーみたいな本部社員との行き違いがあったのかもしれません。彼ら彼女らは一人あたり7~8店舗を巡回して、オーナーさんとの相談や指導などを行っていて、多くの店舗では良好な関係を維持していると聞いています。

実際、セブン本社がすべてのオーナーさんに行った調査では、営業時間短縮を求めているは約2万店のうち80店で、割合は0.4%だったそうです。正直なところ、かなり少ないと思いましたが、現場では24時間365日を継続することを望んでいるオーナーさんが大多数なのでしょうし、夜中や早朝にお店を開けていれば、日中の売り上げも増えるという統計もあります。

ただ、受け持ち店舗の売上の増減は自分たちのお給料も影響しますから、そこのところで勇み足があったのかもしれません。世間は「奥さんが亡くなって憔悴しているのに、営業時間を短くしたら1700万円の違約金を払えなんて、いくらなんでも酷すぎる」と思ったのでしょう。毎日のようにコンビニを利用している人たちも、そんな気持ちになったようです。世の中というのはそうゆうものです。

でも、セブン本部の対応は早かったですね。直営店に加えてフランチャイズ店でも営業時間見直しの実証実験を行うと伝えられています。そして、その結果をどのように現場に導入するのかは分かりませんが、これも「変化への対応」のように感じますし、かなり切羽詰った人手不足という変化にも対応しなければ、お店も本部もおかしくなってしまうでしょう。

確かに駅や大学、病院などを除くほとんどの店舗が24時間で営業しているので、おにぎりやお弁当を作る人や工場、それを運ぶ運転手さんやトラックも24時間体制ができあがっているわけです。ですから、それを部分的にでも変更すれば、少なくない影響が出てきます。ですが、繰り返しますが、基本中の基本である「変化への対応」を的確に柔軟に行えば、必ずオーナーさんやお客様は理解していただけると思います。

そのお客様もいつも開いていて便利だなと感じているのでしょうが、同時に昨今の人が足りない、とりわけ、コンビニ現場でそれが深刻であることもご存知ですので、「それならば24時間、開いていなくてもいいかな。こっちも少しは我慢しなくちゃ」と感じ始めている方も少なくないようです。全国各社のコンビニも飽和状態と言われ、ドミナント戦略によって、コンビニ創成期にご苦労をされたオーナーさんが閉店を選択されている実情を見るとき、舵を切り間違えないようにしてもらいたいと願っています。

なお、写真の店舗は今日の記事とは関係ありません。ただ、左下に『閉店いたします』とポスターが貼られていたので、オーナーさんにお聞きしてみると、区内の別のお店に経営を移転するとのことでした。このようなことは特に珍しくはないそうで、幸いにして新しい店舗も自宅から遠くないので、「そちらにも行きますね」と言ったら、とても嬉しそうに、「ありがとうございます。お待ちしています」と笑顔で答えられました。

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