2千万円不足は既成の事実だった!

立憲民主党の代表代行であり、選挙対策委員長でもある長妻昭さんには選挙区がお隣(当時:中野区と渋谷区)ということもあり、とてもお世話になりました。特にJR高円寺駅の北側は少し歩くと中野区ですので、各級選挙でも応援弁士をお願いし、いつも、こころよく引き受けていただきました。

それで、例の金融庁の審議会の報告書にある“2千万円不足問題”ですが、私は「あれ?何かその話は以前にも聞いたことがあるな」と思い、衆議院の会議録を検索したら、ありました!平成28年10月12日の予算委員会で長妻昭さんが安倍総理に質問していました。

彼は単身世帯がどんどん増えていること、三組に一組が離婚していること、生涯未婚も将来は三人に一人になることなどを嘆いたあと、次のように述べて答弁を求めています。ちょっと長くなりますが、その部分を引用します。この前後にも年金の話題がいっぱい出てきます。

『そして、総務省が調べた家計調査というのがあります。これは、二人以上の高齢無職世帯、世帯主が六十五歳以上、これを調べますと、家計が毎月六万円赤字になっているということなんです。毎月毎月六万円。そうすると、一千万円老後に貯金があっても十四年間で消えちゃう、その赤字を埋めるのが。
これは平均のデータで六万円赤字ということなので、総理、年金は老後の安心をもう確保できていないんじゃないのか、そういう認識をぜひ持っていただきたい。何とかしなければいけないという認識を共有していただきたいんですが、いかがでございますか』。

つまり、過去の総務省の調査で今回と同じような(正確には金融庁が5万円で総務省はより厳しい6万円)数字がとっくに明らかになっていたわけです。とういうか、長妻代議士は安倍総理に「年金は老後の安心を確保できない」「なんとかしなければならない」との認識を共有してもらいたいと迫っているのです。

彼には先見の明があったわけで、今回の金融審議会の報告とほぼ同様な総務省の資料を引用しながら3年も前に質問していました。このときの質疑は結局、噛み合うことはありませんでしたが、少なくても長妻代議士から「では、このような案はどうでしょうか?」というような提案などは一切出ていません。

少子高齢化がさらに進む中で、年金に関してすべてが丸く収まる抜本的改革などあるはずがありません。実際、当時の民主党が考えた最低保障年金制度も引っ込めざるを得ませんでした。「100年安心年金は嘘だったのか!騙したな!」と大声で叫ぶのも気持ちは分かりますが、まったく的外れというものです。

そもそも、「100年安心年金」はその制度の維持のことで、年金だけで暮らしていけるということではありません。65歳を過ぎても、再就職をしたり、アルバイトやパートをしたり、貯金を取り崩したりしたり、場合によっては子供にお世話になったりと、工夫と努力をしながら長寿社会を生きていかなければならないのです。

審議会の報告書を「博打的な資金投資を国が煽っている」と批判することもまんざら理解できなくもありませんが、その国でもGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)で、国内の株式と債券、外国の株式&債権を上手に投資、運用して私たち国民の年金の原資を作っているではありませんか。一つのやり方として提起しているので、それが即、悪いこととは言えまえん。

それを歌舞伎の見得切りのようにわざとらしく驚くのも、いかがなものかと思います。だって、上述の長妻代議士の質問内容のとおり、野党もそのこと、つまり、今回の金融審議会の報告と同じことをとっくに知ってたのですから。しかも、審議会ではなく総務省そのものが調査した数値です。

もちろん、選挙も近いし、野党の攻めどころも理解できますが、「じゃ~、このことがなければ、いったい何を参院選の争点にしていたのだろう」と率直に感じます。野党は過去の成功例が忘れられず、「消えた年金の第2弾で安倍政権を退陣に追い込むぞ!」と張り切っているのでしょう。

しかし、残念ながら、二匹目のドジョウはいないような気がします。確かにいきなり「2千万円不足するぞ!」と言われれば誰でもびっくりしますが、表現は悪かったものの、今回の報告書は老後の生活設計をどうすべきか提起したもので、50頁以上ありますから5分間では不可能ですが、よく読むとけっこうまともなことを述べています。

なお、与党の対応もかなりおかしいです。金融担当大臣を兼ねる財務相の麻生太郎さんは、「報告書は受け取らない」とか言っていますが、自らがお願いしたメンバーで構成された審議会の答申ですから、受け取らないという選択肢はあり得ません。今後の審議会はビクビクして仕事にならないでしょう。

どうしても内容が気に食わなかったら、報告を無視しても何の問題もありませんし、審議会とはそのような存在です。彼は駄々っ子みたいであまりにも大人げない反応で情けないですし、全身が利権でできているような二階幹事長も似たり寄ったりで、呆れるばかりです。「もっと堂々としてよ!」というレベルです。

繰り返しますが、少子高齢化がいっそう進む状況で、限られた財源の中で、私たちの選良の皆さんがときには激しく対立しようとも、理想的でなくても、あるべき姿により近い年金制度をちゃんと議論してもらわなくては困るのです。万能の方程式や八方丸く収まることなどないのですから、なおさらではないかと思います。

そうしないと、参院選に向けて相変わらず、パフォーマンスだけの自民党攻撃では野党は選挙に負けてしまいます。だいたい、政権与党に参院単独でも選挙は勝てるとバカにされているのです。この傾向は外交分野にも及びそうですが、「安倍総理のイラン訪問は完全に失敗だった!」と批判ばっかりだと、ブーメランのように野党の後頭部に突き刺さるでしょう。

何回も申し上げて恐縮ですが、自称リベラルの方々はその名称とは正反対に、多様性を声高に説きながら、自分や自分たちへの批判は受け入れず、それに加えて対立する政権や議員を評価することを極度に嫌がります。なぜ、安倍連立政権が国政選挙で5連勝するのか、なぜ、自分たちの支持率がどんどん低下するのか分かろうとしません。

これで「まっとうな政治」ですから、お里が知れるというものです。でも、世の中には何をやっても、文句を付けなければ気が済まないという皆さんが15~20%くらいはいますから、立憲民主党や共産党の存在意義はそこにあるのかもしれません。共産党は伝統的ですが、立民も日本社会党の後継であり、左派抵抗政党の証です。

さらに私は国民民主党を応援していますが、先日もお伝えしたとおり、万万が一、その候補者、特に全国比例区や東京の候補者が当選を勝ち取れなかったとき、「左により過ぎた」「もっと現実的選択をするべきだった」などと悔やんでも遅いのです。いまさら舵を切ることはできないのでしょうが、そうならないことを祈るばかりです。頑張れ!国民民主党!

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