総理の任命責任は極めて重い

 今から僅か3週間ほど前に私は「安倍総理の取り巻きって?」のタイトルで、経済産業大臣を辞めた菅原一秀さんのことを失礼ながら、次のように指摘しました。
「それから、胡散臭いといえば、これまた安倍さんにも近いと言われている菅原一秀さんも負けてはいません。関電の不正問題で偉そうにドヤ顔で『ウミは完全に出し切る』とか言われていましたが、ご自分のそれは大丈夫でしょうか。少なくても経済産業大臣という重い役職には耐えられないと思います」。

 正直なところ、そのように申し上げたものの、こんなに早くその辞任劇が訪れるとは思いませんでした。もちろん、カニだかメロンだか香典だかの情報を掴んでいたわけではありませんし、特に政治家、国会議員としての彼に関心があったわけでもありません。合わせて「ほら!俺の言っていたことが当たったろう」と得意になることもありません。

 だた、菅原さんの選挙区はお隣の練馬区ですし、それなりのお人柄などは伝わってきていました。つまり、想像というか思い込みというか、それだけで上述のような悪い結果を予想しました。そう思って写真を拝見すると我ながら“胡散臭い”という言葉を使ったのは間違いではなかったように感じます。

 でも、少しだけ彼を弁護すれば、少し前には国会議員などの秘書が代理でお葬式に参列して、香典を渡すことはそんなに特異ことではありませんでしたし、例えばある団体の新年会や祝勝会などで本人は出席しないのに、秘書などが会費と称してお金を置いていくこともありました。というか、推測ですが今でもやっているんじゃないかと思います。私も自分自身の反省を含めて、先のことになりますが、対象を特定しないで過去のことをお伝えしたいと考えています。現職のときには、チクるとか、刺すとかなどは嫌いだったからです。

 一つだけ例を示せば、ある団体の新年会があるとします。その団体には区内にいくつかの支部みたいなものがあり、同じ日の同じ時間にその新年会が開かれます。当然、議員本人はその団体以外の新年会もあり、すべての支部を回ることは物理的に不可能です。でも、“公平”にやらないと不満が出ますので、複数の秘書や上下関係にある議員の秘書に頼んで会費を出します。さらに酷い場合はお金を事前に渡すこともあります。これでは、会費をいう名目でお金を配って回っているということになります。

 話を戻します。菅原さんの場合は運が悪いと言う人もいますが、一つには時代が、世間が変わっていることに順応できなかったこと、そして失礼ながら、つまるところはやっぱり「人徳」や「人柄」でしょうね。これは同じ記事で紹介した下村博文さんも同様で、自民党総裁を目指すとかどこかで読みましたが、たちの悪いジョークとしか思えません。まあ、そのような方々を選んでいるのは地元の有権者の皆さんですから、嘆いてみても仕方ありません。

 ところで、菅原一秀さんは派閥に所属していないそうですが、官房長官の菅義偉さんにとても近いと言われているようです。近いとか遠いとかはともかく、やはり、このような人を、しかも枢要閣僚に抜擢した総理大臣の責任は大きいと思います。身体検査とかそれ以前の問題で、それを察知できなかったところに、総理自身の長期政権のおごりがあったのでしょう。今回の問題をきっかけに政権にとっては悪いことが続くような気がします。

 しかし、だからといって、野党の支持率が伸びることもないと思います。政権を攻める最大のポイントが「大臣などの不祥事を心待ちにする」ですから、お話になりません。本来の戦線である消費増税とか、景気浮揚とか、エネルギー対策とか山ほど懸案があるのに、残念なことです。というか、得意ののブーメラン攻撃も近いうちにあるでしょうし、今回のことも結局はいつもの週刊誌ネタで、自ら調査などをしたものではありませんでした。

 その十八番のブーメランですが、今回の菅原さんの不祥事とほぼ同じ出来事がありました。しかも、昨年にバレてしまったことですが、現在は外務大臣の茂木敏充さんが経済再生担当大臣のとき、有権者にお線香を配布したことが明らかになりました。このとき野党は、「これで茂木の首が取れるぞ!」と意気込みましたが、その直後、当時の希望の党に所属していた玉木雄一郎さん(国民民主党代表)などが香典を秘書に持って行かせていたことが判明しました。

 確かに香典には個人名は書かれていなかったようですが、それが言い訳になるはずがありません。資金管理団体も個人も玉木雄一郎さんは玉木雄一郎でしょう。五十歩百歩の世界で、情けにないことにこれ以降は茂木大臣への追求はピタリと止めてしまいました。その玉木さんは今回、「法律違反なので閣僚を辞めて済む話ではなく、政治家としても説明責任を果たすべきだ」と語っていました。いったい、どの口が言っているんだという話です。

 それにしても、ちょっと前まで野党は、「台風の被害復旧に全力で取り組むために予算委員会を延期すべきだ!」と言っていたのに、さらに千葉県を中心に被害がさらに広がっているのに今度は、「辞任しなければすべての委員会で審議拒否だ!」と叫んでいるのは、驚きを通り越して呆れてしまいます。こんなことばっかりやっているから、敵失だけが戦術だから、ちっとも支持率が伸びないのです。

 そして、いちばん気がかなりのは、国民の皆さんの政治や選挙について虚脱感が広がっていくことです。これにより、どの政党が得をするのかを考えていかないと、この国はダメになっていくのではと危惧しています。その意味では野党の人たちにも頑張ってもらいたいのですが、それもなかなか難しいようです。本来であれば、良識・穏健派の中道勢力の出番なのですが、その芽もすっかり摘み取られてしまいました。

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