JR東日本より強烈なJR北海道

 あらためて振り返るまでもなく、JRの労使関係はむちゃくちゃな歴史だったと思います。自民党と民主党(当時)政権への質問主意書により、JR総連とJR東日本には革マル派(日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派)がかなりの影響力を有しているということが、クロスチェックされていました。つまり、自民党政権も民主党政権もそのことを公式に認めたのです。特にJR総連は「連合」に加盟していますので、このことにより、辻褄が合わなくなってしまった関係者も少なくないと思います。

 それだけでも驚きなのですが、昨年にはJR東労組に所属していた組合員が約4万7千人もいて、圧倒的な組織率を誇っていたのに、現在では何と!僅かに1万人前後にしぼんでしまいました。この間の経緯については何度かお伝えしてきましたので省略しますが、これが世界で最大級の旅客鉄道株式会社の恐ろしいほどの実態です。しかも、脱退した組合員のほとんどは別の組合に所属することなく、いわば“無所属”になっています。一方、会社も会社で、この異常な状態に対処することなく、「お金儲けが第一!」路線を驀進中です。

 それで、前回は同じようにJR東日本を中心とした革マル派のことを詳細に書いた『暴君~新左翼・松崎明に支配されたJR秘史』を紹介しました。この秀逸な本でほとんどのことは理解できたのですが、革マル派の影響力はJR東日本だけではありません。箱根から西側のJR東海、西、四国、九州の民主化はほぼ終了していますが、北海道と貨物はいまだに彼ら彼女らの力が強いと言われています。そのような状況で、『トラジャ』が発刊されました。600頁を超えるボリュームですが、JR北海道とJR貨物について半分近くが割かれていています。

 過去から二人の社長が自殺した異常なJR北海道のことは問題になっていましたが、なせか見えない恐怖に遮られて、一部では報道されていたものの、真相をえぐり出すことは避けられてきました。この本ではそれが明らかにされ、同時にJR貨物のことも初めてではないかと思いますが、けっこう触れられています。前者の著者である牧久さんは日経新聞の副社長を務められた方ですし、後者の西岡研介さんはジャーナリストとして裏社会にも詳しい方です。その意味でも、お二人の著作を読むことによって、JR革マルの実態がかなり正確に掴めると思います。

 なお、JR東労組の組合員が急減したとはいえ、1万人くらいが残留している現実にも注目しなければならないでしょう。特に乗務員=運車(運転手と車掌)職場では依然として、革マル派の影響力が過去の動労(国鉄動力車労働組合)からの流れもあり、組織を温存しているようです。公安関係者に聞くと、「8百名から千名くらいの革マル派同盟員がJR総連に存在し、その多くは東日本労組にいる」と言っていました。あと、この本には連合会長の神津里季生さんのインタビューもあり、巻末の年表をともにとても興味深かったです。

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