東京オリンピック(以下すべてにパラリンピックを含みます)の開催日程が決まってとても良かったです。個人的には2年後の開催が望ましいと以前に書きましたが、様々な事情があるようですから、ここは「期日が決定して嬉しい!」と素直に喜んでいます。
また、事前情報では、「来年は陸上世界選手権や水泳世界選手権があるので、難しいだろう」と聞いていましたが、どちらも、「日程を変更する用意がある」「柔軟に日程を検討する」と言ってくれています。ありがたいことでし、楽観的に見ていても良いような気がします。
そして、日本が敗れたリオデジャネイロ五輪のときも同じだったのですが、「東京開催には理念がない」と言われ続けてきました。それを押し切って、2020開催を獲得しました。もちろん、“復興五輪”と称していますが、開催地が仙台ではありませんので、整合性が弱かったことも事実です。
しかし、来年は大きく背景が異なります。それは申し上げるまでもなく、東日本大震災から10年という大きな節目を迎えることです。まだまだ被災地では厳しい状況が続いていますが、これでいったんお休みになった福島発の聖火リレーも間違いなく、輝きをさらに増してすごく盛り上がると確信しています。
そして、世界からは人類が見えない恐怖を克服した文字どおり、史上最高のオリンピックになるでしょう。全世界から祝福される大会になるのです。ただし、「打ち勝った!」とか「勝利した!」とか、あまり勇ましい表現はいかがなものかと思います。もうちょっと謙虚に行かないと、相手は再び攻めてきます。
それにしても、日本政府のシナリオはすごかったです。まず、報道されないトランプ大統領との電話会談で内諾を得て、正式なコメントでは何と!「1000%支持する」と気合を入れて発表しました。これはその後のG7やG20にもしっかり影響して、各国首脳から「称賛する!」とのお言葉もいただきました。
さらに前後しますが、一発勝負だったIOC会長のバッハさんとの電話会談では「100%同意する」との言質を引き出しました。これもよく計算されたことで、すでにバッハさんは、「開催できるかどうかはWHOに任せる」と、他人任せみたいなことを言っていましたので、きっと渡りに船だったのでしょう。
なお、普通に考えれば、あの格式の高い貴族の集まりであるIOCが、「4週間後には結論を出すって言ってるのだから、日本は余計なことは言うな!」でしょうが、中止になることなく、きちんと利権も守られるのですから、彼ら彼女らにとっても万々歳というところだったのでしょう。
もちろん、開催までの間、アスリートのモチベーション、予選のあり方、会場の確保などなど、隘路だらけですが、人類の知恵と叡智を絞り出して、実現にこぎ着けてもらいたいです。ただ、唯一心配なのは、新型肺炎のことです。定着する恐れさえあるのですから、その対策も極めて大切と思います。
正直なところ、ウイルスとの壮絶な戦いが続いていますので、「それどころじゃないよ!」でしょう。確かにそのとおりなのですが、その戦いの向こう側に希望を設定できれば、息苦しい日常に耐えることがちょっとでも緩和されるかもしれません。その意味でも五輪開催日程の決定は福音となると信じています。