行政と病院・診療所の連携『杉並モデル』

 行政とは都道府県や区市町村、地域中核病院とは明確な定義はありませんが、救急車を受け入れている「2次救急病院」で、開業医とは文字どおり、街中の診療所とかクリニックなどです。ちなみに、3次救急病院は救命救急センターになります。

 それで、私は長い間、社会医療法人・河北医療財団傘下の河北総合病院に設置されている「地域医療支援病院運営協議会」の委員を務めています。ここでの審議は(23)区西部二次医療圏(杉並区・中野区・新宿区)の医師会長も出席しています。

 そして、開業医から病院への患者さんの紹介率(逆紹介率も)の向上、病診(病院とクリニック)連携の強化などを話し合っています。委員長は東京都医療審議会の会長をされている東大医学部教授(公衆衛生学)です。

 さて、その病診連携を杉並区ではまさに現場で実行し始めています。新聞やテレビでも報道されましたが、役員を務めている河北総合病院、荻窪病院、佼成病院など区内中核病院と杉並区医師会がスクラムを組んで新型肺炎対策を進めています。

 具体的には写真の白い病院用屋外テントなどに開業医が輪番で詰めてもらい、新型肺炎が疑われる患者さんを診察し、必要と認めればPCR検査も行っています。ただし、電話をして必ず予約を取ることが必要です。

 このシステムがとても優れている点は大きく二つあります。まず、病院の勤務医はすでに感染している患者さんにリソースを提供できること、開業医は感染の可能性がある患者さんを自院ではなく、こちらに誘導できることです。

 その結果、頻繁に聞くことになってしまった「医療崩壊」を招かないことにつながります。もちろん、財政的支援もすごく大切で、それをやってくれているのは杉並区(役所)で、区長の田中良さんの英断には感謝しています。

 今回の感染症を戦争に例えることもありますが、確かに銃弾も飛ばなしい、血は流れないものの、そうであれば、兵站が極めて重要になります。その意味では全国でもっとも早く支援体制を作ってくれました。

 また、例えば河北総合病院では対策をしっかりやって、病棟の一部を感染症患者専用としていますが、仮に50床あっても実際に使えるのは半分の25床以下であり、ここにも感染症の難しさがあります。

 でも、医師、看護師、検査技師、そして事務方も含めて士気は高く、都民や区民の皆さんの医療現場に対する見方も優しくなってきていて、ありがたいことだと感じています。お互い様、医療崩壊を起こさないように励まし合いましょう。

 結びにフランスの著名な経済学者であり、思想家でもあるジャック・アタリさんのインタビューの一部を載せておきます。フランス人は日本文化のファンが多いのですが、こんな力強い分析をしていただき、勇気が出てきますね。

 『日本は危機対応に必要な要素、すなわち国の結束、知力、技術力、慎重さを全て持った国だ。島国で出入国を管理しやすく、対応も他国に比べると容易だ。危機が終わったとき日本は国力を高めているだろう』。

(タイトルの「杉並モデル」は私のイメージで、正式なものではありません)

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