日常生活と街の風景が変わっていく

 杉並区を中心に地域医療の中核病院として長い歴史がある河北総合病院ですが、本来であれば6月中には感染症病棟を一般病棟に移行する予定でした。つまり、元の状態に戻すということです。

 でも、COVID-19は一向に先が見えず、結局は先日から感染症病棟として患者さんを引き続いて受け入れることになりました。これは当院だけではなく、都内の大学病院なども同じで、医療体制の崩壊がまったく回避されたわけではありません。

 そして、感染症病棟を担当する医師や看護師、各技師などはもちろん、それ以外の事務職員も含めて、今日も感染の危機に晒されながら奮闘努力の毎日が続いていますし、患者さんに接する際の緊張感は相当に強いものがあります。

 そのことに対して、全国で医療従事者をリスペクトしていただく行動が起こっているのは本当にありがたいことです。しかし、それと反対に差別とも思える悲しい言動が残念ですが生じていることも事実です。

 一方、繰り返してお伝えしているとおり、「いつCOVID-19が終息するのか」「いつ有効なワクチンが接種できるのか」「いつこの病気を治せる薬剤ができるのか」を正確に言い当てることができる人は世界中に一人もいません。

 そんな厳しい状況ですが、分からないことだらけのCOVID-19について、かなり分かってきたこともあり、それが私たちの日常生活に役立つこともはっきりしてきました。これからも明らかになることはどんどん増えていくでしょう。

 言い方を変えれば、何をすれば感染の危険が増すのか、何をしなければその心配が少なくなるかです。前者を積極的に避け、後者を同様に実践するには、例えば今まで営んできた通常の行動様式を変えていく必要もあるでしょう。

 それが「3密回避」で、先日もその記事を載せましたが、わが国が提唱している3密対策は世界基準というか標準になりました。医学的に考えれば当然のことなのでしょうが、多くの先進国でもまだまだ守られていない現実があります。

 また、手指洗いの励行やマスクの着用も同様でしょう。アメリカなどでは強制的にマスクを義務付けても「そんなの嫌だ!」という人たちが少なくありません。それに比べて日本は要請だけで、大多数の皆さんがそれに従っています。

 これは将来に判明するかもしれませんし、しないかもしれませんが、わが国の感染者数や特に死者の数がOECD加盟国の中では圧倒的に少ないことは事実なのですから、マスク着用や手指洗いが影響していることは間違いないでしょう。

 ただ、3密回避を徹底することで、タイトルのように私たちの日常生活がいろいろな場面で変わっていくことも事実です。それは上述のとおり、けっして愉快なことではありませんし、窮屈で我慢を強いることにもなります。

 結局は自粛という極めて緩い要請で、問われているのは一人ひとりの意識の改革なのかなと思い始めています。確かに中国のように死刑を伴うほどの恐ろしい強制力で感染を抑え込むことに成功した国もあります。

 でも、わが国はそうではありません。韓国もほぼ封じ込めましたが、7次感染まで追えるという個人情報をすべて丸裸にしている結果です。私たちはそのどちらの道も選択することなく、感染を抑え込む医療政策を進めています。

 政治への文句もたくさんあるでしょう。それは当然のことです。政府や東京都のリーダーに私たちも白紙委任しているわけではありませんが、民主主義は機能しているのですから、ともに前を向いていくことも必要だと思います。

 いずれ、ワクチン接種のときが来たら、政治は重大な決断をしなければなりません。それに至るまでには喧々諤々の議論があるはずです。私たちはそれにも備えて、総選挙でどの人を、どの政党を選ぶかもそろそろ準備しておきましょう。

 長々とした文章になってしまいましたが、医療現場が崩壊することがいちばんの危機であることに異議はないでしょう。あらためて、お互いに工夫をして3密回避をそれぞれの立場で推進して行きたいと思います。

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