菅総理の前のめりはいかがなものかと

 少し前に国際オリンピック委員会(IOC)会長のバッハさんが来日され、総理大臣の菅義偉さんと会談されました。これについては広く報道されていましたが、観客を入れた試合を実現するなど、バッハさんも「東京大会を必ず成功させる」と言われていました。私もそうなるように願っています。

 ただ、揚げ足を取るつもりはまったくありませんが、菅さんがこれが初めての発言ではないものの、「人類がウイルスに打ち勝った証しとして、また東日本大震災から復興しつつある姿を世界に発信する復興五輪・パラリンピックとして東京大会の開催を実現する決意だ」はちょっと気になりました。

 もちろん、後段はそのとおりで、当初の東京五輪・パラリンピックの開催意義でもあります。ただ、「人類がウイルスに打ち勝った証」という言い方は勇ましく、心意気は理解しますが、前のめり過ぎるのではないかと、心配なのです。そのことは多くの国民の皆さんも同じ思いのような気がします。

 私は生意気な言い方ですが、数カ月前から、「COVID-19の収束(終息)時期は世界中で誰も予想することはできない」と申し上げてきました。だから、余談ですが、立憲民主党幹事長の福山哲郎さんが以前に「安倍総理はコロナの収束時期を示すことができない。だからダメなのだ!」と批判していることに、「この人、大丈夫かな?」と記事にも書いたわけです。

 それから、これも今年の2月からお伝えしていますが、長い歴史で人類がウイルスに勝利したのは「天然痘」だけです。インフルエンザですら、勝利したとはとても言えません。日本は被害を免れたものの、一時は世界を恐怖に陥れたSARSだって、現在でもワクチンはありません。偶然、消えてくれただけです。

 繰り返しますが、菅総理の意気込みは分かりますが、「依然としてコロナの危機は続いているが、人類の英知を集めて全世界でワクチンや治療薬の開発が進んでいる。その中で、最大限の対策を講じて、オリンピック・パラリンピックを選手とともに、国民とともに成功に導いていく。それは困難な道になるかもしれないが、それでも、日本から世界の人たちに感動と勇気を送りたい」とでも言えば良かったと思います。

 それでないと、さすがに共産党や立憲民主党も大会の進行が困難になった場合でもイチャモンを付けるとは思いませんが、「ほら!打ち勝つことはできなかったじゃないか」くらいは叫ぶ可能性があります。イレギュラーな言い方ですが、40億年の歴史があるウイルスとの共存も必要かもしれません。